地震

■新潮7月号掲載の短編、古井由吉『半日の花』、平野啓一郎『やがて光源のない澄んだ乱反射の表で……/『TSUNAMI』のための32点の絵のない挿絵』を読む。両方とも先ずその丁寧に編まれた文体に引き込まれた。後者に出てくる、人間の生理現象として体から零れ落ちる「砂」というフィクショナルな存在はとても面白い発想だと思った。人々から零れ落ちる「砂」のおかげで街には砂埃があがる。性交を営むベッドの上には「砂」が溜まる。


■強い地震があった。怖くないことはないが僕はじっとしていた。固まってしまった、というのが正しいのかもしれない。とにかく神経を張り巡らせ佇んでいた。道路を見ると歩行者が皆立ち止まっていて、不思議な光景だと思った。


■家に戻ると本棚の本は落ちていなかったものの、がたがたになっていた。目に見える「揺れ」。


洗顔フォームが床に落ちていた。