■昼間、窓を開け放して掃除をして気持ちよくなったところで、畳の上であぐらをかいてポテトサラダを食パンに挟んだのを昼食とし、島尾伸三の「生活」を読み終えたのだった。島尾伸三の文章をちゃんと読むのは初めてで、ふしぎな味わいというか、遠くから弓を射るようで、最初は戸惑ったものの徐々にしっくりきて、大切なことが語られているのがひしひしと感じられた。そして写真に付されているキャプションがすごくいい。「遊ぶ毎日/ぬくもりは無造作に放り出されていて、」「ピエロとプリズム/小さな宝がそこかしこに、」


■夜、20時から今(23時半)までずっとTBSラジオを聴いている。「菊地成孔の粋な夜電波」は川勝正幸追悼特集で2時間全編音楽にのせて各所から寄せられた追悼文を朗読するだけの内容で、これがすごく贅沢な感じがしてすごくよかった。そして今、続く番組「Dig」でも追悼特集。宮沢章夫、スチャダラ、吉田豪らがゲストでワイワイとにぎやかに思い出話を語り合っていてこれもまたいい雰囲気だ。

川勝正幸とは個人的に面識はないけれど、今回の訃報はすごく驚き、ショックだった。まだまだ私たちに必要な言葉を、知性を、知識を、持っていたはずで、もっと著作を読みたかった。何度か見かけたことがあって、最後は、去年の10月に遊園地再生事業団の「トータル・リビング」を観に行った時、通路を挟んで隣に座っていて、開演中、高らかに声をあげて笑っていたのが印象に残っている。肩の力の抜けたかっこいいおっさんだなあ、あらためて、このひとは本物の粋人だなと思った。もうひとつ印象に残っているのは、小林信彦の著書「コラムは踊る」を読むと、キネマ旬報のコラムをまとめたこの本の78年の「下町脱出願望のドラマ・サタデー・ナイト・フィーバー」の回の冒頭、「調布市川勝正幸さん、〈近田春夫とハルヲフォン〉のカセットテープ、拝受しました。ありがとうございました。」とあるのだ。やるなあ川勝正幸!と痛快な気分。冥福を祈る。

生活―照片雑文 (照片雑文 (〔2〕))

生活―照片雑文 (照片雑文 (〔2〕))