■昨日日曜日は、一生に一度あるかないかの経験をした。海上自衛隊の友人が晴海に来ていて船の内部を見学させてもらったのだった。雨の中、晴海埠頭にひとはほとんどいなかったが、コスプレに興じる人々がぽつぽついたのはいったいなんだったのだろう。灰色の船に近づくと押しつぶされそうな異様な威圧感にやられる。飛行機のことを、よくこんな鉄の塊が空を飛ぶなというひとがいるけれど、船を見てよくこんな鉄の塊が水に浮くよなと思う。迷路のような内部も、この先はNGというところもあったが、こんなところまでいいのかと驚くほどいろいろ見せてもらった。

■船から出て友人とバスで銀座に出ようとしたところ、ニコニコと手招きするおじさんがいてなんだろうと近づくと、どうぞお乗りくださいと車を指して、料金はいたただきませんボランティアですと言う。怪しいと思いながらもバスもすぐに来ないようだし悪い人ではなさそうだったので促されるままに乗れば、なんと君が代がかかっていてとっさにやばいと思うが、それはちょうどリアルタイムでのラジオの相撲中継の音だった。苦笑。運転手のおじさんが言うには、海上自衛隊に恩がありこういう送り迎えをボランティアでやっているということだった。不思議な人がいるものだ。まったくこっちにとってはありがたいが、自衛隊の友人もこういう人がいることは知らなくて、最初はものすごく疑い深い眼で見て警戒していた。とくに癖のある人でもなく、布教活動があるわけでも、演説があるわけでもなく、スムーズに銀座へ移動することができた。

■そして念願の7丁目のライオンに初入店。ひしめく客のざわめきが響く年季の入ったホールに感激。ビーフステーキやジャーマンポテト(マッシュポテトみたいだった)やガーリックトーストとともにサッポロ生の大ジョッキをグイグイ飲みながら、世間ばなし、仕事のはなし。仕事といっても彼は自衛官という特別な職種だから聞きたいことは山ほどある。ちなみに彼は特別いわゆる「右」ではない。二軒目友人行きつけのバーへ。銀座のバー、これもなかなか貴重な体験。普段角瓶ばっかり飲んでいる舌がびっくりしていた。おいしいウイスキーはおいしい。という当たり前のことに気づく夜。