■勤務先でけっこうな歳の、七十過ぎと思しき男性のお客さんから「今かかってるの有線?」と聞かれ、「いや、CDですよ。細野晴臣っていうんです」と私。「へえ、いいねこれ」と爺。びっくりした。ちなみに、トロピカル三部作をまとめたCD−Rをかけていたのだった。

■店で流れている音楽というのはやはり気になるものだから、流すほうとしても気を使う。反応があるとやっぱりうれしい。よく反応があるのはJohn Fahey『After the Ball』で、軽快なギターの音が多くの人の心に響くのだろうか。教えてあげてCDを買い求めたひとはいるだろうか。違うタイトルのものを買ってしまいそれがJohn Faheyのもうひとつの一面である実験色の強いドローンなどを用いた作品だったらどんな顔をしているだろうか。いつもその名を教えるとき「フェイフィー」の「フィー」の発音が曖昧になってそわそわする。

After the Ball

After the Ball