■Kの妹が赤ん坊を無事産んで、おめでたい。神聖な気持ちになり、背筋が伸びる。


■それでKは不在だから帰り道近所をふらりふらりとする。


■近所の小さな何でも置いてある古本屋はとくに特徴はないけれど、夜12時を過ぎてもやっているので、仕事帰りにふらりと寄ることができるので重宝している。といっても、なにも買うものがなく手ぶらで店を出ることもよくあるが、それでもその寄り道がひとつの息抜きとして機能している。最近はいい入荷が続いているらしく、講談社文芸文庫が一列並んでいるのでなにも買うものがないときはその中から一冊選び、レジで暇そうに本を読んでいる、もしくは携帯をいじっている学生風の男(女)に「そのままでいいです」と添えて渡すことにしている。まあ今日もなにも買うものなくて文芸文庫から一冊かなと思いながら入ったのだが、するするとシブい本が目に入る。いくつもあったけれど、また次に来るときのためにとっておいて(どうせすぐには売れないだろう。失礼)、深沢七郎『人間滅亡の唄』新潮文庫八木義徳『夕虹』福武書店を買う。うれしい。穴場だなあ。