藤田嗣治

■休日。藤田嗣治展を観に竹橋の東京国立近代美術館へ。噂には聞いていたがものすごい人手。入場は並ばなかったものの中に入ってみると絵の前には人だかり…。おめかししたおば様方の声を聴きながら鑑賞。これはこれでおもしろいじゃないかと自分を無理やり納得させて絵を眺める。でもやっぱり人が気になってしまう。通訳つきの外人とか、一人で来ている制服姿の女子高生とか、杖を突いてじっと眺めている爺さんとか。でもやっぱり多いのは着飾ったおば様方で彼女たちの会話に苦笑。


■藤田の絵は良くも悪くも時代ごとに変化していた。百点ほどの作品を次代順に並べた展示内容で、良くも悪くも時代ごとに変化する藤田の絵を堪能することができた。

細部に目が行く。女の着ているドレスの模様とか、上の自画像の食卓の上の散らばった枝豆だとか、そういう細部を描いている画家の姿を思い浮かべると何だかジンとくる。この気持ちは何だろう。


■ひとつ、展示方法で気になることがあった。戦争画が何点か展示されていたのだがそのフロアだけ照明が暗かったことだ。明らかに意図的でものすごく安易な演出だと思う。こういう展示を作家はどう思うだろうか。ぼくはどうにも居心地が悪かった。



■夜は家族で集まって沖縄料理屋で飲む。酔っ払って弟にからんだ。海葡萄を初めて食べた。酒のつまみに良いですね。


■昨日荻窪ブックで買った本を書いておく。井伏鱒二『漂民宇三郎』講談社文芸文庫宮沢章夫『茫然とする技術』筑摩書房をともに105円で。宮沢章夫のエッセーは寝る前とか風呂の中で重宝している。これはそういえば持っていなかった。井伏鱒二は高校時代の読書感想文の課題として『黒い雨』を読んだことがあるだけ。以前深沢七郎との対談を読んでひそかに読んでみたいと思っているのだ。