恐婚

色川武大『恐婚』文春文庫、読了。ですます調の文体が新鮮だ。最初は少し違和感があったが、間もなく馴染み、そして、どうしても主人公の顔が色川武大になってしまうのは毎度のことだ。色川作品に通底するある種の「品性」はとても僕を落ち着かせる。主人公が他人と接する時に誰に対しても「優越感」をまったく持っていないところが僕は好きなのかもしれない。それを色川武大は「劣等感」と言い換えるが、僕にはそのような負の要素よりも「やさしい眼差し」として強く心に残る。それが僕のいう「品性」なのだ。この本を読み終えて、いろいろ色川武大について書かれている雑誌の記事などを拾い読む。色さんとの思い出を語っている方々の記事を読んでいると、無性に羨ましくなった。とても会いたい人だ。が、もういない。また引き続き色川武大の著作を読もう。


■GWで人気が少ない閉店間際の荻窪ブックで二冊。池田満寿夫池田満寿夫 絵画を語る』白水uブックス、興津要編『古典落語(上)』旧講談社文庫。共に105円の均一から。『古典落語』があるとはねっ。


■昨日は気が沈んでいたが、なんとか持ちこたえ、今夜はだいぶ良くなった。