蒸し暑い一日

■昨夜音楽を聴いているとき、なんとなくCDの棚を久しぶりに眺めていたら、いらないものが、もう聴かないものがあるなあと気づき、ユニオンにCDを売りにいく。枚数のわりにはけっこうな金額で気が昂ぶった、そんな休日である。昨夜は午前6時頃寝たのに今朝は10時半ごろには起きてしまう。休日だというのに、休日だからこそ、とも言える。やりたいことがある。洗濯、掃除、久しぶりに重い腰をあげて実行する。本棚から溢れ、がちゃがちゃと積み上げられた本を綺麗に積み直したりする。この作業は楽しい。

■で、ユニオン行って、朝から何も食べずにいたのでタリーズの屋上でヘルシーで味気ないサンドを食べて珈琲飲んでタバコ吸って本を読んだり。この場所気に入ったなあ。特に眺めがいいってわけじゃないけど、風通しが良くて、で、とにかく人がいないのがいい。


■やっぱり休日でも電車に乗らずに過ごすことはあまりない。吉祥寺へ。F書店で色川武大『なつかしい芸人たち』新潮文庫200円、『現代俳句の世界3 川端茅舎・松本たかし集』朝日文庫250円。色さんのは意外や意外持ってなかったのだ。まさかF書店の雑然とした棚で見つけるとは。『現代俳句の世界』は不勉強ながら両者とも知らないのだが、小島信夫が川端茅舎の部の序文を書いているので読んでみようと思ったのだ。俳句にはまったく疎いわたくしですが、「en-taxi」の角川句会手帖がおもしろく、興味はずっと持っているのです。それにしてもこの朝日文庫の『現代俳句の世界』シリーズ、今日は他の古本屋でも至るところで目に付いた。


■国立に戻って駅前の古本屋で田辺茂一『わが町・新宿』旺文社文庫を200円で買う。いい買い物じゃなかろうか。田辺茂一は色川さんの著作や談志師匠の思い出話にその名がよく出てくるので気になっていたのだ。知らない人のために書くと、氏は紀伊国屋書店の創業者である。

■そういえば、CD売ったお金が入ったのでそれでまたCDを買ったのだった。MILES DAVIS&GIL EVANS『Quiet Nights』を今聴いている。抑制の美学みたいなものが感じられてとてもいい。久しぶりにマイルスの自叙伝を引っ張りだしてこのアルバムについての部分を読んでみる。

クワイエット・ナイト」は、なんとかボサノバをやろうとしただけのレコードだった。(中略)音楽的には何も意味ある結果にはならなかった。

と、ある。製作者の気持ちとそれを受け取る側の気持ちが食い違うことが多いという話を耳にする。悪い演奏をしたと思うと意外と評判がよく、いい演奏をしたと思うと評判は良くない。というアレである。そういうことが起こったのか。このアルバムの世間での評価はどういうものなのか。なにはともあれ僕は、ある種のダンディズムとも言える抑制の美学を感じ、とてもいい気分になった。もう一度聴いてみよう。