どですかでん

■木曜日。細々とした用事をすませ、午後三時過ぎ、国立駅からバスに乗り府中まで出て京王線に乗って芦花公園駅へ線路と交差する駅前の道を行き世田谷文学館へ。花森安治と「暮しの手帖」展が開催中だ。それっぽいかわいらしい女の子がちらほら。「暮しの手帖」創刊号から第二世紀53号までの表紙が壁一面に並べられているのは圧巻だった。眩暈がしそうなほどだ。そう、僕が最初に花森安治の魅力にやられたのがこの「暮しの手帖」の表紙だった。古書店で一冊一冊しみじみと眺めて少しづつ買っていた時期を思い出す。


■またバスに乗って荻窪へ。バスに乗ると眠くなる。うとうとしてたらあっという間に荻窪駅に着いた。珈琲が飲みたいなとずっと考えていた。初めて邪宗門を訪れる。急な階段を登ると狭い部屋がありゴタゴタと椅子とテーブルが並べられ、壁にはいくつもの古い時計や絵が掛かっている。が、圧迫感はなく妙に落ち着く。何か隠れ家にいるような気分でそこにいるだけで楽しい。ブレンド珈琲はまろやかな酸味が美味しかった。


■ブックでは何もみつからなくて、S書店へ。均一から大岡昇平『成城だよりⅡ』文藝春秋を見つける。これ、探していた。ⅠとⅢを持っていてⅡが欠けていたのだ。だいぶ前にⅠを読み終えてずっと探していたのだ。それぞればらばらに買って揃えることができた。こういうことがあるから古本屋めぐりは楽しい。永井龍男『石版東京図絵』中公文庫も買う。


■今日は久しぶりに新刊屋で買い物。新しい「en−taxi」。先ずは文学の器、後藤明生『挟み撃ち』の回を読む。


黒澤明監督『どですかでん』を観る。つぎつぎ出てくる人物が強烈で愛すべきキャラクターで「生きている!」と思った。こういう言い方はどうかと思うが、元気が出る映画だ。武満徹の音楽も良かった。「どですかでん」という言葉が電車の音だということがわかったのは発見だった。