トニー

荻窪ブックで数冊買う。それは帰り道。雨が降っていた。しっかり傘を持って出掛けたから濡れずにすんだ。出掛ける時に降っていなければ傘を持っていくことはしないことがモットーのわたくしですが、今日は何だか持って出た。役に立って嬉しい。


■帰って、貰い物のチーズケーキを食べながら市川準監督『トニー滝谷』を鑑賞。一人の男の喪失の物語である。と一言で済ますことはできる。しかも原作は村上春樹の同名の短編だ。「ああ、正に村上春樹っぽいねえ」と言いたくなるが、まあそんなことはどうでも良い。一貫して漂う無機質で硬質な空気がとても独特で妙に心に残った。それと、ずうっと村上春樹の原作の文章を会話の部分じゃないところもそのまま役者が語っていることにより、役者の位置が曖昧になり、奇妙な存在感を獲得していた。