マイルス

■いろんな本と平行しつつ『マイルス・デイビス自叙伝』*1も読んでいる。これから授業に沿いながら少しずつページを手繰ることになるだろう。今は44年、ニューヨークにやってきたマイルスは若干18歳。憧れのバード(チャーリーパーカー)とつるみ始めたところだ。マイルスのバードに対する強い憧れは相当のものだったようだ。何日も何日も探し回り、ライブハウスに行けば、いつ入ってくるかわからないので入り口をじっと見て現われるのを待っていたようだ。そして念願かなって出会うことができ、つるみ出すとこれが曲者で、年下のマイルスに金はせびるは一緒にタクシーに乗っている時に同情同乗していた女の子と目の前でセックスするは、まだ故郷から出てきたばかりの10代のマイルスにはさぞかし刺激が強かっただろう。

だからバードのことは、人間としてよりも偉大なミュージシャンとして尊敬していた。

人間としてよりも(笑)。


■今夜、部屋ではバードの演奏をリピート再生。マイルスの語り口は一層リアリティーを増し、音は輝きを増す。40年代のニューヨークに2000年代の東京から思いを馳せる甘美な時間。マイルスの独白調の文体がなんとも良い。本当に話しかけられているかのようだ。

まあ、聞いてくれ。
オレの人生で最高の瞬間は……セックス以外のことだが、それはディズとバードが一緒に演奏しているのを初めて聴いた時だった。

■今日は古本屋に行かなかった。

*1:

マイルス・デイビス自叙伝〈1〉 (宝島社文庫)

マイルス・デイビス自叙伝〈1〉 (宝島社文庫)