ギター

■帰宅して久しぶりにギターを弾く。
この前「グラデーション」を作る時にもまったく弾かなかったからいつ振りだろう。
エピフォンのセミアコ。町田の小さな中古の楽器屋で買った。ルックスで選んだ。
その時に初めて町田駅に降り立った。人が一杯で賑わっており、都会的な街で驚いたが、どことなく郊外の「あの」感じ、「薄い」感じが漂っていて、あまり具体的な印象がない。地図を片手に目的の楽器屋に向かったが、なかなか辿り着かなくて、汗をかきかき同じところをぐるぐる回ったりした。なんとか見つかったその小さな楽器屋はギターが所狭しとひしめき合っていて、中には見たことない国産のギターが置いてあり、雰囲気のいい店であった。ギターを担いで、喫茶店などどこにも寄らずにそそくさと町田をあとにした。あれ以来町田には行っていない。
そのギターは、アンプに繋いでも、繋がなくても、やわらかい音が出るから気に入っている。何を弾くでもなく、あてもなく、和音をポロンとやり、同じフレーズを延々と弾いたりしているうちに夜は更けていく。世界と僕の境界線がぼんやりと滲んで、マーブル状に溶け合って、宙に浮くような気分になる。
自由だ。