■隣家のJさんからもらった秋刀魚の干物を肴に飲む夜。今年に入って順調に古本泡山に注文が入っていてうれしいなと噛みしめながらウイスキーのお湯割り。

■最近本をちゃんと一冊読むということをしていないなと思う。でかけるときはたいてい文芸誌の「新潮」か「群像」を持っていき、あれこれ読もうとするがなかなか興味のある著者のものにしか手が回らない。それにしても多和田葉子の小説がおもしろい。「新潮」に3ヶ月にわたって載った「祖母の退化論」は不思議な設定にぐいぐい引き込まれ(動物園に、サーカスに行きたい)、「群像」1月号に載った新連載小説「雲をつかむ話」は本人を思わせる主人公が語るエピソードが実にいい。

後に犯人として逮捕された人と、それと知らずに言葉を交わしたことがこれまで何度かあった。どれも「互い違い」という言葉の似合う出遭いだった。朝、白いリボンのように空を横切る一筋の雲を見ているうちに、そんな出遭いの一つを思い出した。

■いつもより早起きをして通勤電車に揺られ恵比寿で「ガイアシンフォニー第三番」を観たのはいつだったか。友人にDVDではなくぜひスクリーンで観てほしいと云われその気になったのだった。私にとって星野道夫という存在をまともに意識したのは実は初めてではなかったか。星野道夫のパートではないところでも、ずっとその存在がそして喪失感がが私を覆っていた。

■そして早起きはいい。映画館を出るとまだ真昼間という贅沢。なんでもできそうな気がする。ランチタイムの店に入りカレーを食べて、古本屋に行った。