寒いと言う他なし

荻窪ブック詣で。普段よりこころなしかお客が少ない店内は閑散としていたものの、逆に店員が張り切っていて大声で喚いていた。ありゃちょっとやりすぎだあ…。とは云うもののいつも恩恵を受けているんです。今日も買いました。森茉莉『私の美の世界』、尾辻克彦『出口』、太陽93年8月号「特集・日本を知る100章」。

尾辻克彦の本は今ほとんど絶版で見つけたら買うようにしている。もともとは僕は赤瀬川原平から入ったクチで、「トマソン」で知られる路上観察活動もおもしろいけれど、宮武外骨を徹底的におもしろがり興奮していくさまが書かれている『学術小説・外骨という人がいた!』を熱読したものだ。雑誌「スコブル」や「滑稽新聞」を刊行し反骨精神をむき出し権力に立ち向かった宮武外骨の活動内容を紙面を図面掲載し言葉遊びやパロディーという点から紐解いていくというもの。この本があったから宮武外骨にすんなり興味を持てたのだ。


■今日買った太陽もふとしたときにパラリとやるのに良さそうだ。「日本を知る100章」という特集でそれぞれテーマごとに写真とエッセイが付されている。普通の太陽よりも厚く重い豪華な号だ。「松」だとか「丼」(種村季弘!)だとか「花火」(草森紳一!)だとか「団体旅行」や「愛想笑い」なんてのもある。その中に「自動販売機」という項を開くと田舎の鄙びた自動販売機コーナーの写真があり、思い出したのは子供の頃よく飲んだ葡萄の粒々が入ったジュース。あれ懐かしいなあ。今まったく見ないよなあ。そこに写っている自動販売機は「ダイドー」。「ダイドードリンコ」の「コ」って何?という岸野さんのコンサート中のつぶやきを思い出しほくそ笑む。