豊田道倫とあふりらんぽ

■やっぱり今でも菊地成孔のサイトの日記と化した速報欄を覗いている。特に昨日(12日)のは面白かった。http://www.kikuchinaruyoshi.com/dernieres.php


■氏については僕の周りではとても賛否両論で(おかしな日本語ですね)、酒の席などで批判的な意見に耳を傾けることも度々ですが、僕はといえばとても好きであります。一言で言えば僕は氏から苦笑の技術を教わり、それが大変役に立っています。今思いついたのですが氏は色川武大に似ている気がします。顔がではありません。その、僕に与えてくれる力についてです。東大の授業に潜っていた頃が懐かしい。



■昨夜とうとうエアコンのスイッチをいれてしまって、今日昼間も世話になった。そうするとなかなか外に出れず夕方まで家で洗濯などをしてすごす。うどんを茹でて茗荷を散らして食った。立川で帽子を買い吉祥寺に出て安い珈琲を飲み、渋谷へ。タワーレコードタワレコ限定の高橋悠治『YUJI PLAYS YUJI』を買う。帯には「高橋悠治のルードス・トリーナス(音の遊び)とも言うべき自作自演集」とある。楽しみだ。2階をうろうろしていたら、突然見知らぬ女の子に「すいません」と呼び止められ、何かと思ったら、いきなり、「チケット余っているんですけどいりませんか?」と言う。何の公演のチケットかも示さないでそれは無いだろう、と思う。「いらない」と苦笑しながら冷たく言い放ってやる。だってこれからNHK-FMライブビートの公開録音に行くのだ。出演はあふりらんぽ豊田道倫。豊田さんのライブは半年振りに観る。こんなに空くことがあっただろうか。


■予測に反して先に豊田さん(なぜか「さん」付けしたくなる)の演奏。キーボードにDr.kyOn、ドラムに久下惠生。めずらしい組み合わせ。豊田久下コンビは恒例だが、そこにキーボードが加わるとなるとどうなるか。ドキドキしながら拝見。二人とは対照的(?)にきっちりとした演奏するイメージのあるDr.kyOnが時に触発されているようにも見え、興奮が伝わる良い演奏だった。
おそらくあふりらんぽ目当ての客が多かったのだろう。観客の反応が薄かった。だからだろうか、振り切れる寸前を感じさせるが振り切れる前でさっと引いていく、という感じのライブだった。それがとても良かった。豊田さんは良い意味で場に左右される。だからライブに通いたくなる。その場で観る必要を感じさせる。一曲目の『UFOキャッチャー』でいきなりこみあげてくるものがあり、我ながらびっくりした。とても好きな曲。あと、やっぱり久下惠生のドラムは凄まじい。唯一無二!

■巷で噂のあふりらんぽはとても健康的にハチャメチャ(おかしい日本語、また出ました)な演奏だった。でも実はとてもきっちりした演奏をしていると全部観ていて思った。ソニックユースの前座を務めたことがあるらしいが、まさにアメリカ人受けしそうなバンドだ。女の子二人組だからなおさら…。こんなこと書いてるけど嫌いじゃない。「好きだ」と言えないのが歯切れ悪いが…。ギャンギャンギュンギュンノイジーな演奏は観ていて気持ちよかったもの。すごく盛り上がっていたが、やっぱり前で騒ぐ気にはなれなかった。僕にとってはちょっと危うさとか猥褻さとかが足りなったのかも。うん、健康的、だった。前で騒いでいる人の中心は高校生くらいの若い女の子と30代くらいの男っていうのが、なにかとても的確に表している気がしないでもない。


■吉祥寺で麦酒飲んで終電で帰宅。きのう荻窪ブックで収穫があったから記しておこう。ディック『時は乱れて』サンリオSF文庫、サキ『ザ・ベスト・オブ・サキ』サンリオSF文庫安藤鶴夫『落語国・紳士録』旺文社文庫シャルル・ペロー長靴をはいた猫河出文庫を105円で。サンリオSF文庫は実は初めて買った。SFほとんど読んだことがない。一年生。