■忙しく去っていく三月。四月も通常より勤務日が多い予定。休日にはあれこれやりたいことが多々あり、またいそがしい日々がつづく。


■土曜日にはそれぞれの誕生日を祝うため年に二回会う友人Mと下北沢で飲む。下北にも普段めったに行かないから、日常から切り離された不思議な時間のようではあるけれど、話題はとても日常的ななんてことのない近況報告。ビールから日本酒、二軒目でハイボール、そしてまたビールという流れ。


■勤務先にむかう道の途中、老夫婦が商っている小さな八百屋がある。それほど賑わっているわけでもないその店のまえを通るたび、特別愛想もなさそうだがもくもくとしぶとく商売を続けてきた気概を感じさせる老夫婦の姿を確認するとほっとしたものだったが、突然なんの張り紙もなく、シャッターが閉まっている日が続いていた。最近、ちかくにスーパーができたのが原因だろうか、それにしては突然すぎる。きっと主人が倒れたのだろう。閉まったシャッターの前を通るたび、私は一度も買い物をしたことのない店の不在に心が痛んだ。買い物をしたことがなくとも毎日のようにその前を通れば愛着がわいてくる。わがままなのかもしれないが小さな個人商店には風景としての価値があるように思う。私はそういうことをその「不在」によって知らされた。先日、一度だけ片方のシャッターが開いていることがあった。見ると奥さんがあの愛想のない顔をしてひとり立っていて、陳列台にはみかんと玉葱だけが並べられていた。