■フードをかぶりインターネット。パソコンのある部屋は寒くてどうにも更新が滞りがちになる。という言葉を毎年吐くことになる冬。昨日も雪が降った。


■この前の日曜日にポレポレ東中野で観た沖島勲『これでいーのかしら(井の頭) 怒る西行』は刺激的だった。2007年に観た『一万年、後・・・・。』があまりにもすばらしすぎて、過去作品が詰まったDVDBOXも買ったりしたほどの私だからそりゃあ期待して観にいったら、やはり、いい意味で裏切ってくれた。監督が長年散歩してきた久我山から井の頭公園までの玉川上水沿いを歩きながら、女の子を相手に風景について語る映画だ。木を見て橋を見て家を見て風を感じて、それらに宿る記憶に思いをめぐらせる沖島監督を見ていて、なにか光がさして視界がひらけていくような気持ちよさを味わった。歩いていく先が曲がっていて見えないときのワクワクする気持ち(左へカーブを曲がると光る海が…!)や風に吹かれた木の葉がざわざわと音を立てるときの恐怖感、そういうものを感じることが最近少なくなってきているような気がする私は大切ななにかを思い出したのかもしれない。土地に、風景に、建物に宿る記憶のことを考える。保坂和志の『カンバセイション・ピース』を読み直さなければと思う。保坂和志といえば「群像」連載の「未明の闘争」を毎月ちゃんと読み続けている。

■今夜は味噌仕立ての餃子鍋で温まる。妻の実家から届いた日本酒「静ごころ」でこれから一杯やろうと思う夜。今年一番の冷え込みだったとニュースが伝える。