■今年初めて東京を離れ静岡の妻の実家に行ったのは10日夜。たくさんのひとに会い、たくさん食べたくさん酒を飲み、たくさん寝た。正月がまたやってきたような至福のときを過ごし12日夜帰宅。義妹の息子がすくすく育っていてびっくりした。歩いたり登ったりモノを投げたり、見ていてまったく飽きない。なにかこうするとこうなる、という法則みたいなものをみつけようと思うもなかなかむつかしい。

■11日。午前中、思いもかけず妻の従兄一家も隣の本家にいたものだから賑やかにわいわいと写真撮影など。軒先の干し芋の行列の鮮やかなさまに見とれる。

■義父母、義妹一家と妻とで浅間神社へ。なかなか立派な神社で人も多く、正月気分が高まる。急な石段を上ると社があり、まだそのさきに道が続いているので進んでいくととくになにがあるわけでもないハイキングコースを一周するはめになって、去年義父母らが上京した際思いつきで行った高尾山での道々を思い出したりした。歩けば腹が減るというもので、近くの商店街にあるこじんまりとしたおでん屋の店先でおおきな卵や牛スジや大根に舌鼓を打つ。そして通りがかりの味のある店構えの古本屋では閉店半額セールの張り紙があり、どれどれと棚を見てみれば良書が多数あり興奮。じっくりと選び荒らさない程度に買う。義弟が店長を務めるドーナツ屋をひやかし帰宅。夜は手巻き寿司や茶碗蒸しなどの美味しさにため息をもらしながら、麦酒、金粉入り日本酒、そして加賀鳶をクイクイ飲み、スイスイと寝床へ行きスヤスヤ眠る。




■12日。たっぷり寝て起床。本家の土間で伯母さんの蕎麦打ちを見物。ひょうひょうとやっているように見えるが身体に染み付いたその動きにはただならぬ凄みが漂っている。見よう見まねで少しやらせてもらうも当たり前だがまったくうまくいかなかったが、こういうものを受け継いでいかなければいけないのだと思うのだった。妻は真剣に教わっていた。軒先で薪を燃やして蕎麦を茹でる贅沢。茹でたての蕎麦を何もつけずに口に含んだときの幸福感はなにごとにも変えがたい。自家製の山芋を入れての汁蕎麦ももちろん旨かった。不在中の我家に届けられていて受け取れずにいた広島は呉の友人からの生牡蠣を転送してもらい届いたものだから蕎麦と一緒に食し、そしておばさんが追加で持ってきてくれた濃厚な甘みの白菜の漬物をつまみビール、日本酒。満腹の腹をなで皆で昼寝。夕方、帰る前の食事もしっかりとおいしいものを食べ酒を飲ませてもらい、22時過ぎの新幹線で帰宅。あっという間のしかし充実の休暇。しかしこれでもう「お正月」が終わってしまった。