■昨日は年に数回の、鎌倉にとくに目的もないのに行きたくなる症候群で、昼過ぎKと鎌倉駅へ。古本を漁ったり、Tシャツを買ったり、近所をぶらぶらするのと同じことをしている。鰻丼を食べて江ノ電で腰越で降り、海沿いを江ノ島に向かって、作りかけの海の家とサーファーを見物しながら歩く。江ノ島へつづく桟橋の途中からボートが出ていて、受付のおじさんの熱心な誘いに心動かされ初めて乗ってみる。江ノ島の裏側の岩場まであっという間の船旅だった。岩場では海を眺めて途方に暮れるというよりは密集したフジツボを見たり、小さな蟹の歩く姿を追ったり、フナムシを踏みそうになってふらふらしてみたり、常に足元を見ていた気がする。猫は以前ほどいなくて、触ることができなかったのが残念。途中入った食事処には客がひとりもいなかった。奥のテラスでビールでもと入ったが海は見えないし、隣の宗教施設からは念仏が聞こえるしで面食らったが、店のおばさんの愛想もよく、注文したイカの丸焼きは生姜がきいてて美味しくいい気分でビールを飲んだのだった。

■ソフトクリームを舐めながら江ノ島をあとにしまた江ノ電に乗り藤沢へ。古本屋を三軒ハシゴし買ったのは福武文庫の内田百輭一冊。こつこつ蒐めている。


■藤沢からJRで平塚へ。バスに乗り大磯にひっそりと佇む名店「RASCAL」へ。去年の十二月以来二回目の訪問。どれもこれも美味しそうなメニューでどれを選ぶか悩むも、やっぱりどれもこれもおいしい。初めてモズクを美味しいと思ったそれは西表島の手摘みのもの。スヌイ。生姜がきいていて酸っぱすぎないのが良かった。最後、ニンニクのきいたアサリのベトナム炒めをつまみ白ワインを飲んでいるとき途方もない多幸感に包まれる。Kとヘミングウェイの話をした。九時過ぎ、おいしいおみやげをいただき店をあとにする。東京駅をまわる道のりで国分寺には十一時過ぎに着いた。