■木曜日、地元の神社、谷保天満宮で某打ち合わせ。鳥居をくぐると空気が一変する。というのはレトリックでもなんでもなく、実際、あれだけ木に囲まれていれば、空気の純度はちがうだろう。気持ちがよかった。帰り、国立駅まで歩く。銀杏の葉がたくさん落ちていた。



■夜、ポレポレ東中野にて福間健二監督作品『岡山の娘』を観る。ひとつのストーリーをなぞっていくというものではなく、数々の美しくおかしい断片が積み重なってできた映画だった。カットが変わるごとに瑞々しい気持ちになるような編集のおもしろさがあった。映画というものは映像と言葉(詩)と音でできたものだったのだという当たり前の事実を知らされる。今私のなかでそれらのいろいろな断片が頭を駆けめぐり点滅し踊っている。主人公の女の子が自分のことを「からっぽ」と言うところがあって、「からっぽ」っていい言葉だなと思う。深刻すぎず、楽天的すぎず、変に突き抜けたこの言葉を聴いたとき泣きそうになった。

■次の日、新潮12月号を買って、いつも楽しみにしている大竹伸朗の連載を開いたら、今回のタイトルが「からっぽの世界」だった。