■煎餅を適当な大きさに割ってつまみながらビールを飲みながらの備忘録。


■日曜日。なにか特別な目的でもない限り行くことはないであろう京王線山田駅で下車。特別な目的とは祖父の墓参り。駅前で親戚と合流。郊外の風景が広がっている。そこは八王子市。最近読んだ宮沢章夫の「返却」を思い出したので、その風景を堪能しながら歩く。木が生い茂る間に水量の少ない川――そういうものを「沢」というのだろうか――があり、佇んでいると鶯の鳴く声が聞こえた。陽がじりじりと熱く感じられ、久しぶりに夏を思い出す。墓地はやたら暑い。墓石に水をかけると自分も清々した気分になった。府中に移動し宴会。もちろんビールをやたらと飲む。周りもにぎやか。昼間から酒を飲んでいる連中が意外と多い。窓がなく時間感覚がおかしくなる。便所にいく途中に窓があり、日光が照っていて眩暈のような感覚におそわれる。夕方、まだ明るいうちにお開き。バスに乗って国分寺へ。駅前の喫茶店でチキンバーガーと珈琲。帰宅し少し寝ると外はもう暗くなっていた。







堀江敏幸『おぱらばん』青土社、読了。語り手はつねに異人であり、語られる舞台である土地と密接な関係に陥らないのだが、その距離は近すぎず遠すぎず、絶妙な焦点距離を保っていて視界がひらける気持ちよさをたたえた短編集であった。

おぱらばん

おぱらばん


■湯船に浸かりながら少しづつ読んでいた村上春樹『THE SCRAP 懐かしの一九八〇年代』を読み終える。アメリカの雑誌・新聞の記事をもとに書かれた「ちょっといい話」的な、もしくは「トリビア」的なエッセー集。ひとつ二ページ足らずという短さが長く湯に浸かってられない私にとってとても良かった。村上春樹の仕事ではエッセイが一番好きである。

‘THE SCRAP’―懐かしの1980年代

‘THE SCRAP’―懐かしの1980年代