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■木曜日、午後、八王子にて打ち合わせ。その後、6時半から11時まで東中野で話題の井土紀州監督『ラザロ』をついに鑑賞。「加害者」と「被害者」とは一体何なのか。加害者は本当は被害者ではないのか。被害者はどこにいるのか。いないのか。これはあらゆる意味で衝撃的な映画だろう。今まだ上映中なので詳しくは書かない。観てみれば良いと思う。
http://spiritualmovies.lomo.jp/lazarus.html
■松浦寿輝『花腐し』講談社文庫を読む。表題作もよかったが、冒頭に収められた短編「ひたひたと」に強い感銘を受ける。
人間の記憶なんていうものはね、その場に現にあるもののことなの。思い出じゃないんだ。イメージでもない。実際に、現実に、今ここにあるもの。それが記憶。
保坂和志が『カンバセイション・ピース』でやっていたことと通ずるなと思いすごく興奮した。洲崎という埋立地を歩く主人公は同時に記憶を渡り歩くことになり、視点が子供になったり青年になったりするのだが、その松浦氏の文体は滑らかで端正で当たり前のように進み、まるで夢の中にいるような甘美な心地を齎してくれた。
- 作者: 松浦寿輝
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/06/15
- メディア: 文庫
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