■昨晩ふと、たまらなく深沢七郎の「東京のプリンスたち」を読みたくなり、本棚の一番目立つところにある深沢本が並んでいるところに「東京のプリンスたち」が入っている新潮文庫の『楢山節考』を手にとろうとしたら、なかったのだった。絶対にどこかにあるはずなので部屋のあちこちを分け入って探したが見つからず途方に暮れた。しかしこういうのはたぶんそのうちひょっこりあらわれることになっている。さいわい『楢山節考』は深沢七郎の著作の中で数少ない今でも買える本なので、今日は新刊屋に飛んでいって買って読んだ。音楽のある(もしくは、だけがある)青春を過ごした者にこれは震えるような興奮をあたえてくれるだろう。と、おおげさなことを書いてしまいたくなるくらいにすばらしい。


■木曜日、嬉しくも気が引き締まる依頼がメイルで届く。詳しくはいずれ。このブログをやっていて良かったなあとしみじみ。

■彩の国古本まつりに初めて行ってみる。所沢は意外と国分寺から近いのだなあ。車中、岩波文庫創刊80年記念「図書 私の3冊」を読みながら、気になる選者の気になる一冊をチェックしこれから始まる買い物にそなえる。会場に着いてさっそく坪内祐三が選んでいた『オーウェル評論集』を見つける。幸先が良かったのかそのあとも順調に日曜市と自分用にいいものを買うことができた。しかしひとまわりするのに二時間もかけてしまったため楽しかったがさすがに疲れる。広い会場のなか一角に一休みするための椅子が並べてあり、そこに絶妙な間隔で年寄りがポツンポツンと座っており、なんだか病院を思いだした。

■駅前でドーナツを食べる。ドーナツ屋に来るとひとつで充分なのについついあれもこれもと選んでしまう。


■帰ってきたら遠くのTちゃんから手紙。元気そうでなにより。宮古島の空気は知らないが、目をつむって想像してみる。