■日曜日。10時前に起きる。ミートソースのパスタを食べ、ネットで馬券を買って出かける。それにしてもネットで馬券を買うのは味気ない。やはり「現場」で買うのが楽しいのだ。いろんなオッサンに出会えるし。しかし止められず買ってしまう。習慣と化してしまっているようだ。


■中野の新井薬師での骨董市に行った。骨董初心者のわたしは、こんなものがあんな値段で!と目を丸くすることしきりだった。終盤に行ったからか人もまばらでゆったりとした足どりで見て回った。困るのは、おおこれはいいなと思い手にとると値札が付いていないことである。値段を聞くのを躊躇ってしまう。聞けば、びっくりするような値を店主はさらりと答え、薀蓄を語りはじめる。私は唸り、それを元に戻す。

■ぐいのみが欲しかった。一目で気に入った蕎麦猪口があり、いくつか同じ模様のものが並んでいた。不完全なものに愛着が沸くもので、すこし歪んで楕円になっているのを選んで買った。ひとつ二千五百円。江戸後期文政年間のものらしい。ちょんまげ姿のひとが作ったと思うととても不思議な感じがする。

■そしてもうひとついい買い物をした。ほんとうに古い書物や絵葉書、写真などの紙ものは良い値で売っているのだが、おまけみたいに現代の本が投げ売りされていて、ほとんどがどうでもよいものだったのだが、一冊小島信夫が出てきた。聞くと百円でいいよと言う。『暮坂』初版・帯付きで状態も良い。開くと墨の匂い。なんと署名入りだった。ぞっとするほどいい買い物である。


■陽気も良く気分は終始上々だった。また骨董市に行きたい、通いたいと気分は高まっている。いつかわたしが器片手に薀蓄を語る日が来るだろうか。


■木曜の浅草散歩のときとおなじように、昼間から黒ビール。中野駅前のカルマで。