荻窪ブックでやけに眩しい本を発見。『円と四角』という本。松田行正構成/向井周太郎解説、牛若丸というところから出版されている。まえがきに「円形と四角形に昇華した護符・カリグラフィ・宇宙図・サイン、そして視覚詩をひたすらあつめた」とあるとおり中は図版でびっしりだ。造本も凝っていて表紙カバーに凹凸があったり、そのカバーの裏側にも文章が印刷されてあったりして楽しい。既知の本ばかり買っている身としては未知の本を買うのは興奮する。400円は安すぎると思った。

ホームページを発見。http://www.matzda.co.jp/


■麦酒を飲みながら川島雄三幕末太陽傳』を観る。この映画は出演者である殿山泰司の本を読んで以来、ずっと気になっていた。そして、最近読んだ坪内祐三『酒日誌』のなかでこの映画が「マイフェイバリット」だと書かれていたので、これはもう観なくてはとついにツタヤで借りてきたのだった。フランキー堺の軽妙な江戸口調がたまらなくいい。顔もいい。もうそれだけでぼくはうれしかった。一挙手一投足に目が離せないほどその動き、仕草が、ぼくを虜にした。これだけ「動ける」役者が今どれほどいるだろうと思う。脇役も豪華、とくに小沢昭一がいい味出していた。落語の噺を繋ぎ合わせた構成も見事におもしろい。こういう完璧な傑作を観ている間は本当に夢中になってしまい、なにもかも忘れて身を委ねている。観終わった後はポカーンと脱力。