現役の作家

小島信夫氏が26日亡くなった。初期の短編と『抱擁家族』と『アメリカン・スクール』を読んで感激し、今年の新潮二月号に載った新作『残光』を貪るように読んだ。身の回りや時間を小説にからめとってしまうそれは「私小説」と簡単には言えぬとても刺激的なもので小説の自由を知らされた。そしてその時の(今の)小島信夫の頭の中を覗くような感じも受けた。小島信夫は「第三の新人の」でもなく「抱擁家族の」でもなく「芥川賞作家の」でもなく、僕にとっては「現役の」作家だった。だからとても悔しい。新作が読めないのだ。幸いまだ読んでいない氏の作品はたくさんある。大切に読んでいこうと思う。それにしても、保坂和志との公開対談に居合わせなかったことが悔やまれる。そのときに氏が発した「いやね、最近、笑うと泣いてしまうんですよ。笑うのと泣くのが、区別がつかなくて」という声を聞きたかったなと思うんです。



■雨が降っている。明日の天皇賞はどうなるだろう。今夜はおでんときゅうりと大根の漬けものを食べながら晩酌。最近は晩酌後は暖かいお茶をすするようにしている。なんだかそれでとても贅沢な気分になる。