田中小実昌おすすめの小島信夫

■朝、一階に住むじいさんと隣家ののおばさんの会話をぼんやりと聞きながら起床。このふたり毎度同じことを話しているのが面白い。ひそかに笑わせてもらっている。


■起きたら唇がとても乾燥していた。そんな季節になったのだ。寝惚け眼で、昨夜吉祥寺ブックで買ってきた「考える人」2005年秋号を読む。目当ての小島信夫保坂和志の対談を読んでいたら、むかし保坂和志小島信夫に向かって「小島先生、田中小実昌さんが、小説を書くことを知りたいと思ったら小島先生のところへ行けと言いました」と言ったことが書かれていた。そして夜、バイト帰りの電車の中、バックの中の文庫本殿山泰司の『三文役者あなあきい伝』を読んでいたら、こんな一節にぶつかった。

最近おれがよんだマトモな本というのは、小島信夫「私の作家評伝」だけである。これもおもしろかった。オモロイなどと言ったら叱られるかな。勉強になりました。真夜中の新宿で田中小実昌氏にばったりと会い、なじみのスナックへ一緒に行き、ウダウダと駄弁ってる最中に、この本はイイヨと小実さんに教えてもらったんだ。

田中小実昌おすすめの小島信夫の名を一日に二度「偶然に」目にしたわけだ。田中小実昌、本当に小島信夫のことを買っていたんだなあ。それにしてもこの偶然だけれど偶然ではない、なんというか、実は無意識にそういうつながりのある本を選んでいるものなのだと思う。読書の歓び、雑読の歓びである。