茗荷

■酔っ払っている。まあ、毎晩のことだが。昨夜は焼き鳥屋で酔っ払っていた。高田文夫の本(中公文庫)を二冊と小島信夫・森敦『対談・文学と人生』講談社文芸文庫を買う。後者の解説は坪内祐三。ただならぬ緊張感を持った文章で興奮。酔っ払いながら吉祥寺ブックで。帰る道は小雨と共に。


■昨日は不動産屋に足を踏み入れる。熱血過ぎな不動産屋で後ずさり。

■引越をするのだ。


■今住んでいるところには4年いたことになる。駐車スペースの上に4本の柱で支えられポツンと浮いた1Kの部屋。めずらしい物件だった。隣が無いから音を気にすることが無かった。夜中に大きな音で映画を観たり、音楽を聴いたり、宴をしたり。まだ実感がわかない。この部屋を僕は本当に離れるのだろうか。でもどこかにいくのだ。そこでは新たな生活が待っている。楽しみである。荷物を運び終えて空っぽになったこの部屋を見るとき、何か感慨を抱くのだろうか。


■毎晩のように麦酒と共に豆腐をつまんでいる。以前は木綿が好きだったが、最近は絹ごしをひいきにしている。つるっとやってごくっとやる。そして茗荷が欠かせない。葱よりも茗荷だ。毎晩家に帰ってきてやることといえば茗荷を刻むことだ。その時これからどういう時間を過ごそうかと考える。至福のときだ。だが、思い通りになることはあまりない。


■豆腐と餃子とチーズをつまみながら荒川洋治『忘れられる過去』。すこぶる面白い。