ブロークン・フラワーズ

■昨日は六月一日映画の日吉祥寺バウスシアターへ。遅くなると混むだろうからと14時45分の上映に珈琲を手に駆けつける。ジャームッシュの新作『ブロークン・フラワーズ』を観た。前作『コーヒー&シガレッツ』で、コーヒーショップの店員に扮する俳優ビル・マーレイ役を演じたビル・マーレイ(笑)が主演。あの苦虫を噛み潰したような顔がとても良い。安心する顔、とでも言おうか。何だか僕は大好きなP・T・アンダーソンの『マグノリア』を思い出した。両方とも、すごく大雑把に言って過去に引っ張られてしまう人間の話だからだろう。笑える場面は多いものの僕はどちらかというと苦笑(良い意味での)のほうが多かったなあ。人間だなあ、としみじみ思う。余談だけど、アメリカの田舎道の風景は日本のそれと変わりないということを知った。


■久しぶりに荻窪T書店に行った。森まゆみちくま文庫『「谷根千」の冒険』、『不思議の町 根津』、『谷中スケッチブック』を三冊200円で。初めて見た金井美恵子の『夜になっても遊びつづけろ』という旧講談社文庫のエッセイ集を800円で買う。あと、最近探していた講談社現代新書の684番、後藤明生『小説―いかに読み、いかに書くか』を国立ブックでようやく見つける。これ、坪内祐三新書百冊』で知って気になっていたのだ。


色川武大『明日泣く』講談社文庫、読了。短編集。前半に入っていた時代物は達者な語り口でまるで落語のよう。後半の「男の〜」シリーズは自分が50歳くらいになった時にまた読んでみたいと思わせる味わい深さがある。器用だなあ、と思う。でも小手先で書いてる感じは微塵もないのだ。実感がこもっているんだよなあ。いいよなあ。一度会ってみたかったなあ。