古本日和

■休日なのにいつもより早く九時に起き出す。晴れていたから布団を干す。洗濯をする。


■いつもバイトに行くのと同じ時刻に家を出る。空のペットボトルがたくさん入ったビニール袋を二つ抱えて…。空のペットボトルをなかなか捨てられないでいて溜まっているのだ。普段ゴミを置くところにはペットボトルの回収は来なくて指定の場所があり、そこがどこだかよくわからない。で、今日はスーパーに持っていこうと決心した。まだ四袋分くらいある。うう。


■ペットボトルを無事に処分し、駅前の古本屋へ。ふと手に取った宇野信夫『はなし帖』文藝春秋、カバーがイカしてる。

400円で買う。

■いつものタリーズ屋上に行くも、今日は人が多い。席に着いて本を読み出すが英会話の練習をしている客が二組もいたため集中できず断念。日光浴。


■中央線に乗って、「あたし〜、中学のころ8人くらい付き合ったよ〜」とほざくがどう見てもそんな器じゃない女子高生の男遍歴話に聞き耳を立てつつ高円寺へ。T書店の外の棚を物色。大岡信『ことのは草』世界文化社、J・G・バラード『溺れた巨人』、ユリイカ2005年8月号「雑誌の黄金時代」、現代詩手帖1995年4月号「田村隆一の詩の世界」をしめて900円で。70年代の現代詩手帖をパラパラと眺めていたら詩の投稿のコーナーに「飯沢耕太郎」という名前があった。きっとあの写真評論家の飯沢耕太郎だろう。どこかの古本屋で氏の詩集を見たことがあって、驚いたことがあったが、詩は原点なのだろう。


■そして一駅電車に揺られ阿佐ヶ谷へ。久しぶりに友人でもあるF舎の主人に会いに行く。やっぱり良いなあこの店は。ひいき目なしに本当にそう思う。行けば必ず欲しい本があるもの。本日はあの小豆色の背表紙が愛しい新潮文庫復刻シリーズの深沢七郎『東北の神武たち』500円と澁澤龍彦『マルジナリア』福武文庫300円を買う。「マルジナリア」とは書物の欄外の書き込みや傍注のことをいうらしい。まあ、読書エッセイといったところか。『玩物草紙』『フローラ逍遙』『偏愛的作家論』などで読める澁澤のエッセイが好きな僕にとってはとても楽しみな本である。ちょっとゆっくり話でもということになり、駅前線路下の古めかしい喫茶店に連れていってもらう。めずらしくアイスレモンティーなんか飲みながら古本にまつわるあんな話やこんな話を交わす。良い時間だった。あっという間に夕方に。

■んで次は荻窪。定期があるとべんりだな。S書店とブックに寄るが何も買わず、吉祥寺へ、ブックで松本隆『風のくわるてつと』新潮文庫を105円で。これはじめて見たなあ。『微熱少年』はよく見かけるんだけど。はっぴいえんどの曲の歌詞なんかが載っていて、読んでいると曲が頭の中で再生される。歌いたくなる。「夏なんです」とかゾクゾクするなあ。

■今日はリュックの中に本用にとトートバックを忍ばせて出掛けて、それが活躍するくらい買えて良い気分。嬉しい重みをしっかりと感じながら家路へ。


■日が暮れかけていたので慌てて帰る。布団干しっぱなしだったのだ。


■夜、立川いとうで阿部昭『未成年と12の短編』福武文庫300円。