タバコの煙で遊ぶ

■昨日は結局床についたのは午前七時半。正確に言うと今朝か。

■何やってんだか。でも、早朝に入る風呂は気持ちが良い。窓の外から、鳥の声や、ゴミを出す音、自転車をこぐ音、仕事に向かう靴の音が聞こえてくる。湯船に浸かりながら目をつむって耳をすます。世間の人々が動き出す時間に風呂に浸かりこれから寝るというのは痛快ではあるが申し訳ない気も少しする。空は晴れ、外は眩しく、何だか寝るのが馬鹿らしくなったが、とりあえず布団に入り昼一時頃起床した。朝食と洗濯を済ませ、夕方まで用事はないが駅前にふらりと行く。まあ行くところは決まっている。古本屋だ。四軒まわったが特に買うものはなかったものの良い気分。休日に近所をふらふらするということは実はあまりないことで、これはこれでとても休日らしい休日だなと充実したものに思えてくる。

タリーズで珈琲。ここは屋上がテラスになっていて気に入っている。天気の良い日は気持ちが良い。屋上にあがると誰もいなくていつにも増して落ち着いて本を読むことができたが、途中から大学生の集団がやってきて賑やかになったので本を閉じ、タバコの煙で遊ぶ。

■今の持ち歩き本は『気まぐれ美術館』に続き洲之内徹の『絵の中の散歩』新潮文庫だ。この中に、若き洲之内徹が作った創刊号で終わってしまった雑誌「これくしょん」にあの真鍋博が漫画を描いていたということが書いてあり、そこに付箋を貼る。

■夕方、近所に研修で来ている友人に会い、飲みに。お気に入りの「ニチニチ」に連れて行く。友人は郵便局員の研修で近所の施設で集団生活をしているのだが、これがとても厳しいらしく、門限は九時までだし酒もいけないのだという。それでもまあ一二杯は良いだろうと乾杯し、門限ぎりぎりに間に合う時間まで飲んだ。この頃、紹興酒がとても美味しい。なじむ。あたたかいやつがいい。それにしてもその友人がまさか郵便局員になるとは思わなかった。なんてたってダンサーである。

■郵便局とダンス。こう並べてみると、なんかいいな。なにかひとつおはなしができそうである。滑稽ではあるが。

■郵便局でダンス。迷惑ではあるが、あの退屈な待ち時間が楽しいものになるかもしれない。

■ほんのり酔っ払いつつ、まだ早い時間だったので、中央線に乗り三鷹で降り、ひさしぶりにS堂へ。しかしここでも何も買えず、今日はダメかなと思いつつ吉祥寺へ。駅近くに最近できたBブックスに行く。店主に「この前はどうも」と挨拶。実はここの店主は友人の友人で、以前、まだ開店準備をしている時にたまたま店の前を通りかかり、友人がそこで手伝っているのを見つけて「何してんの」と声を掛けた折、紹介してもらった。狭い店内に半分は古書と新刊漫画、そしてもう半分はアダルト本とグッズだ。古本屋でちょこっとアダルトものを扱うところは多いが、ここはグッズの充実ぶりがすごくて気持ちが良い。「気持ちが良い」ってそっちじゃないですよ(笑)。アダルトものも文学も漫画も全てを等価に扱おうという気概を感じる。なし崩し的にアダルトものを扱う古本屋とはまったく違うということだ。詩の棚から、ちょうど昨日講演録を読んでいた荒川洋治の現代詩文庫がタイミングよくあったので買う。それと和田芳恵『接木の台』集英社文庫も。


■そのあと他の古本屋も廻ったが成果はなし。体が冷えてきたところで、電車に乗って帰宅。