吉祥寺阿佐ヶ谷渋谷

■今日「新潮」三月号を購入。先ずは電車で椹木野衣の隔月の連載と大竹伸朗の連載を読む。椹木野衣の連載「文化の震度」ではバリ島について語られていた。その中でバリ島の絵画に影響を与えたロシア生まれのドイツ人、ウォルター・シュピースという人物を初めて知り興味を持つ。大竹伸朗の「見えない音、聴こえない絵」では次の一節が心に残る。

描きかけの絵とは、とりあえず電池を抜いた状態の「時計」のようなものかもしれない

■昨日は休日で友人のXちゃんを阿佐ヶ谷の友人の古本屋に連れて行く。古本屋の友人といつものように古本談義。いつもここに来ると話し込んでしまう。ただ、他のお客さんが入ってくると、話すのを、お互い示し合わせたように止める。店の人間が話し込んでいると買いづらいもの。友人も店を気に入ったようで楽しんで何冊か買っていて自分の店のように嬉しい。もちろん私も買う。色川武大の未読の作品『あちゃらかぱいッ』、『無職無宿の息』、特集で「落語大好き」と銘打ってある高田文夫責任編集の『笑芸人』2003年春号。いつものことながら負けてくれてしまう。今度からはもう負けなくて良いからと念を押す。

■そういえばその前に吉祥寺のF書店にも行ったんだった。安岡章太郎『戦後文学放浪記』岩波新書安野光雅『読書画録』講談社文庫、藤枝静男『悲しいだけ 欣求浄土講談社文芸文庫を買う。ここは全体的に安く、掘り出す喜びがある。


■夜は何杯か麦酒と熱燗をひっかけて、渋谷ネストへ。このライブハウスにはたぶん今までで一番行っている。今回は友人のバンド、ゲラーズ主催のイベントであった。懐かしい顔がちらほら。やあやあと酒を飲みつつ話し込む。愉しい時間だ。もちろん、何をしにきたかといえば演奏を聴きに来たのだから、しっかりとステージのフロアへも行く。ゲラーズは、もうなんというか、5人のメンバーそれぞれが違う方を向いているのに一緒に演奏をする必然性を感じさせる佇まいだけでやられてしまう。そして音を「放り出す」という言葉が合うような「ぶっきらぼう」な演奏がとてもかっこいいなと思った。無防備で曖昧で、しかし強い必然を感じさせるバンドだ。バンドって先ずはなんと言っても「佇まい」だと思っている。

■「赤い疑惑」というバンドもかっこよかった。なんてったってバンド名がいい。