寄席

■木曜日、人妻からの手紙が届く。最近結婚した友人だ。苗字が変わっててドキドキした。


■同じ日、友人たちと寄席部を結成し新宿は末広亭へと赴く。初めて生で落語を観ることができるので気が昂ぶりソワソワ。新宿で部員たちと落ち合い伊勢丹太巻き、かんぴょう巻き、稲荷寿司を買っていざ出陣。中へ入るとタイムスリップしたかのような妙な心持ちになる。そこには普段接することのない異空間が漂っていた。談志が好きで落語に興味を覚え、最近になって少しずつCDなどで落語を聴いていたが、やはり目の前で繰り広げられる落語を体感することはとてもおもしろい。色々な噺家を次々に観ていると自分の好みが分かってくる。大体それは出てきた瞬間その噺家の顔を見れば自分が好きかどうかわかる。噺を、声を聴くことよりも先ずはその佇まいに夢中になった。僕が好きなのは、何か影を持っていて普段はあまり話さなそうで、斜に構えてる噺家だ。そういう意味でとても気になったのが古今亭志ん五というひと。今までまったく知らなかったのだが何か悪そうでしかも色男、といった風情をたたえていた。寄席には立川流一門は出演しないので実はあまり期待していなかったのだが、もういちど観てみたいと思う噺家に出会うことができて嬉しい。志ん五の他には川柳川柳柳家小三治、橘屋円蔵が気になった。小三治の顔は土方巽に似ていたように思う。間のとり方が余裕たっぷりで貫禄を感じさせた。川柳は下世話で僕も下世話な人間なのでとても気持ちが良かった。円蔵はまず顔が好きだ。志ん五は声量がとても抑え目ででもそれが単調には感じられずある種の品を醸し出していて好きになった。それぞれ様々だが出て来た瞬間一発でこれは好きだとわかった。寄席に行く意味といったら、噺家たちの佇まいを体感することにあるんだと痛感しまた来ようと決意した夜だった。


■帰り道、部長に西荻蕎麦屋に連れて行ってもらい、八海山をちびりちびりとやりながら卵焼きをつまみ最後にせいろをすすって女将さんからのサービスでデザートのきなことあんこの餅をいただいて解散。なんだか古き良き日本を知る夜となる(笑)。

■そのあと新しい仕事が見つかったXと急遽近所の居酒屋でちょっと乾杯してちょっと泣かせて帰宅。