寒い日曜日

■東京で初雪が観測された。とても寒い日だった。昼間から雪が降ってもおかしくないなと多くの人が思っただろう日曜日。

■今日は荻窪で法事。祖父の三回忌。礼服着用。馴れぬネクタイに苦戦していたら遅刻。駅から駆ける。酒が好きだった祖父に心から献杯。エビス麦酒をぐいぐい飲んでふらりふらりと景色がぐらついた。寺の廊下に掛かった相田みつをの日めくりカレンダーに住職がいちいちコメントを書き加えてあった。「ハィ、それ私です 住職」。可笑しすぎて涎を垂らした。

■帰り道、吉祥寺で降りてカルディーに珈琲の買出し。日曜の昼間のカルディーは人でごった返していた。年末のせわしなさに触れる。

■せっかくだからF書店へ。初めて見た荒木経惟『写真への旅』というマガジンハウス刊の新書サイズの本を買う。昭和五十年「アサヒカメラ」に12回連載した「荒木経惟実戦写真教室」を一冊にまとめたものだ。内容は日本全国を旅してしたためた文章が主となっている。楽しみな本だ。他にカラーブックス『仏像のみかた』、山口昌男『歴史・祝祭・神話』、「群像」最新号。「群像」、笙野頼子舞城王太郎の小説が載っている。濃いなあ。それと、創作合評の写真に作家の玄月氏が写っていて、女だと思っていたのが男だったので意外だった。氏の『異物』という小説を興奮して読んだことを思い出す。巧みな視点変化が見事で同じ時期にこれまた夢中になって読んだ阿部和重シンセミア』と同じような構造を見て盛り上がった。


■国立に戻ってブックで色川武大『怪しい来客簿』のハードカバーが105円で出てて吃驚。話の特集刊の初版本。文庫で読んでいたのだけれどハードカバーは持っていなかったので買ってしまう。あまり同じ本を買うのは好きじゃあないが勘弁していただきたい。文庫とハードカバー両方持っていたい本も稀にあるのだ。それに誰か読みたい人にあげることもできるし。

■帰り道、ふざけて「にゃあ」と言ったら本物の「ニャア」が聞こえてたちまち4匹の猫に囲まれてしまう。こいつらには数回餌をやったことがあって、餌をくれると勘違いしたのだろう。よしよしと言って離れようとしてもこちらに顔を向けて「ニャア」と云い、家まで付いてきそうな勢いである。あいにく何も持っていなかったので家からアンパンを持って戻ってあげた。よっぽど腹がへっていたのだろう。アンパンのかけらを手に乗せて少しじらしていたら子猫がパッと手を伸ばしてきて僕の指に傷をつけた。
それにしても考えてしまう。みだりに餌をあげるのはいけないなと。たぶん彼らは毎日もらえることを期待するがあげられない日だってあるのだ。野良猫だからって気が向いた時にだけ餌を与えることは彼らに余計な期待を与えることになりかねないし、僕の方だって責任を負うことの葛藤をせざるを得なくなる。むずかしい。

■夜、宅配ピザとスープ。