強風による目覚め

■風が強い休日。洗濯物を飛ばされないかと不安に思いながら干す。


レトルトカレーにゆで卵とソーセージを添えて食べ立川へ。風上に向かって自転車をこぎこぎ場外馬券売り場へ。最初のレースでどんぴしゃ当てて早いうちに去る。プラス4桁。最近調子良い。

■こんな日はいつもとは違って豪勢にいくかといえばそんなことはなくて、いつものように古本屋でぽつぽつ買い物。荻窪S書店。均一の棚からはめずらしく何も買わず、店内の棚から保田與重郎『現代畸人傳』と朝日文庫の「現代俳句の世界13・永田耕衣・秋元不死男・平畑静塔集」。その後吉祥寺のF書店などを廻ったが何も買うものなし。が、国立のユニオンで以前気になって買い損ねていたBillEvans&JimHall『Undercurrent』*1をようやく買った。



■でもやっぱり少しの贅沢はしたいものでエビスの黒ビールをお土産に実家へ行きだらだらと晩餐。


NHK教育新日曜美術館の特集は「洋画家・松田正平の世界」というものだった。まったく予備知識もないまま観てとても興味を憶えた。淡くも微妙に明るい色使いの油絵は独特の感覚があるし、描く対象がダイレクトに迫ってくる素直さが感じられた。かといって、生々しいかというとそういう感じでもなくて、敢えて云うなら即物的というほうが適当だ。黒い線だけで女が裸で横たわっている姿を描いた絵がとても気に入った。白い紙にほっそりとポツリと横たわる女の姿が頭に張り付いて離れない。番組中松田氏について語る洲之内徹のVTRが流れびっくり仰天興奮した。と同時に録画していないことを悔やんだ。動き喋る洲之内徹を初めて観た。なんだかとても得意げで、それは図々しいとも云えるもので、やっぱりなという印象だった。


■今夜は麦酒をたくさん飲んだ。


保坂和志『生きる歓び』*2を読了。墓地で瀕死の子猫に出会い世話をする中での気持ちを綴った「生きる歓び」と作家・田中小実昌と筆者の関係・想いを田中氏の小説に触れながら丹念に描いた「小実昌さんのこと」の二編が収録されていて、両方ともエッセイではなくて小説だと保坂氏はあとがきで宣言していた。僕にとってはそんなことはどうでも良いし、書き手がこれは小説だと云っているのだからそのことに異論は唱えない。ただ、この二つの話、特に「小実昌さんのこと」は今まで読んだどの保坂氏の小説よりも語り手としての保坂氏の姿を感じられた。流れる時間の中で絶えず変化する気持ちをそのまま書く氏の姿勢がより鮮明に印象付けられた本だった。この瑞々しい話法はちょっと他に見当たらない。蛇足だが、この本のあとがきもなかなか読ませる内容で氏なりの小説論になっている。あとがきをこんなに熱心に読むことがあっただろうか。

*1:

Undercurrent

Undercurrent

美しいジャケット!

*2:

生きる歓び (新潮文庫)

生きる歓び (新潮文庫)