■今夜は涼しい。涼しい夜。
■ヘッドフォンからはむせかえるようなポップス。大音量で聴く。耳を使う。
■耳鳴りがする。
■おもむろに取り出した去年の群像十月号。多和田葉子さんの『伝達少女』を読む。会話の部分のシンプルでリアリティーのある掛け合いに目を見張り、主人公と一緒に皇居の周りをぐるりと脳内歩行。即物的な描写と相まって気持ちいい。一種の東京小説だと思った。グロテスクな東京が見えた。
同じ号に載っている絲山秋子さんの『アーリオ オーリオ』も読む。30代後半の独身の叔父と中学三年生の姪という微妙な間柄での手紙のやり取りに妙にドキドキさせられる。