たくさん食べてたくさん呑む

■目覚めるとひどい頭痛。昨夜呑み過ぎたためだ。

国分寺トリネコトネリコというお店にX姉妹と行く。ランチで骨付きチキンのカレーを食べて以来2回目、夜は初めて。大好きだったKUUKUUで働いていた方がきりもりしている住宅地にひっそりと佇むお店である。奥さんとお2人でせっせと、しかしおだやかに働く姿がなんとも気持ちいい。それだけでずっといたくなるほどだ。料理は一言で括るのは憚られるが、どれも丁寧な味付けで素材の旨みを生かすという一貫性を感じる。昨今、スローフードという文化が浮上してきていて、そのように括られることもあろうかと思われるが、僕にはもっと独立した自由な空気が漂っているように感じた。気に入った。

■たくさん食べてたくさん飲む。途中からXの弟くんも加わり、3兄弟(長女、次女、長男という内訳)にかこまれて酔っ払う。トマトのキッシュが特に美味しかった。るりかけすという国産のラム酒が置いてあるのも嬉しい。

■閉店間際、相当酔っ払っていたところで向こうの席のおじさんが乾杯しようと僕らに笑顔を向ける。僕が今愛用しているシンプルなカレンダーの製作者の方だ。一緒に飲んでいらした奥さんは本をたくさん出している有名な料理研究家。丁度Xちゃんがその方の本を持っていてサインをもらって本当に嬉しそうだった。とにかくお店の方々も交えてみんなで新たに乾杯。実はご夫妻は親父とも面識があり、その息子とこんなところで会うなんてと驚かれたりしながら閉店後突然の2次会が始まり終電のことも忘れる。

■なんとも不思議な夜であった。皆さんと握手をして別れ、僕ら一行はタクシーに揺られて、数分前の思いがけない出来事を反芻した。


■その日の昼はまあいつものように古本屋だ。荻窪のS書店でたくさん買う。谷川俊太郎の詩集を二冊、富岡多恵子、茨木のりこ、石垣りんの現代詩文庫、鳩よ!坪内祐三特集号、そしてずっと欲しかったベケット全集。


■東大の授業は最終日だった。マイルスのファッションの変遷について。


■今日は蕎麦を食べた。とろろ蕎麦。二日酔いの日の最初の食事はいつだって蕎麦だ。