豊田さんと岸野さん

awayama2005-06-26

■外から陽気な歌声。午前1時半。暑さのせいか。

■昨夜は6時過ぎにやっと就寝するも、暑くて眠れずすぐに起きてしまった。早く床につく習慣をつけなければと思うけれど、0時を回ったあたりからが僕の本番なので始末が悪い。

■今日は休日。頭を丸めて毎週日曜恒例の三鷹S堂へ。駅から離れていたって問題なし。汗をかきかきせっせと歩く足取りは軽い。着くと店員の女の子が電話を受けてなにやらソワソワしていた。誰かの訃報の知らせだったらしい。その時は見当が付かなかったのだけれど、わかりました。絵本作家の長新太さん。ご冥福をお祈りします。
ネットで訃報記事を見ていたら、昭和天皇に向かってパチンコ玉を発射し逮捕され、後に原一男監督のドキュメンタリー映画ゆきゆきて、神軍』で取り上げられた奥崎謙三氏も亡くなったことを知った。

■S堂では一冊買う。ずっと気になっていた天文学者野尻抱影『日本の星・星の方言集』を買う。また昔の中公文庫だ。

荻窪に出てS書房で『正津勉詩集』(現代詩文庫、大量に均一に出ていた。その中から一冊選んだ。前に現代詩手帳での島田雅彦との対談を読んで興味を持っていたから)、澁澤龍彦『幻想の画廊から』(美術論集。図版が載っているので文庫じゃなくて単行本で欲しかった)、ラシルド夫人『超男性ジャリ』(アルフレッド・ジャリの女友達が綴った同時代回想録。いまさら気づいたけれど、このかっこいい装丁、大竹伸朗さんなんですねえ。また個展行こう)。


■蕎麦をすすって東高円寺UFOCLUBへ。先日この日記で書いた「よく聞く、または特別な思い入れのある 5 曲」という質問の答えに挙げた岸野雄一さんと豊田道倫さん両者が出演するイベントに行くためだ。岸野さんのステージに触れるたびにいつも丁寧な人だなと思う。一人一人に語りかけるような歌やステージさばき(踊り)は僕を夢中にさせて、こっちもじっくりと耳を澄まし目を凝らしステージに対したくなる。いや「対する」という言葉は不適切かもしれない。時間を共有したくなるのだ。喋っていると思ったらいつの間にか歌になっているあの瞬間はいつだってスリリングで胸が躍る。ピアノの岡村みどりさんの演奏は抑揚のつけ方が素晴らしく、岸野さんとの息もぴったりで、さすが長年一緒にやってきてるなという感じ。名人芸。いつものバンドのセットも良いけど、この2人の演奏も曲の構造や歌がよく見えてすこぶるおもしろかった。
豊田さんのライブは久しぶり。一時期熱心に毎月のソロコンサートに通っていたのだが、最近はなんだかんだで行けず、行かず、悶々としていた。豊田さんの演奏を聴いていたら通っていたときの生活が思い出されて肩に力が入った。あれから僕は変わっただろうか。豊田さんも今日同じようなことを云っていた。「今年でデヴュー10周年。十年前と今と変わっただろうか、同じだろうか」と呟いて、十年前の曲と今の曲を続けて演奏した。変わっていないなと思った。だからこの人の歌が好きだ。