汗かく夜

小山清『落穂拾ひ・聖アンデルセン』

■エアコンのリモコンを部屋の隅に放り投げて、できたて熱々のレタスチャーハンをかきこみ、汗がにじむ。水分を補給するようにごくりごくりとビール。

■梅雨はどこに行ってしまったんだろう。じめじめとした雨の日が続くのは気が滅入るが、雨がこのまま降らないのは少し怖い。天気予報は晴ればかり。


GASTR DEL SOLは大好きでよく聴いているのだが、DAVID GRUBBSのソロを今日初めて聴く。日本版も出ている歌ものアルバム『THE SPECTRUM BETWEEN』とスウェーデンのフリージャズサックス奏者で最近来日していたMATS GUSTAFSSON(キッドアイラックホールでの公演は日本勢との差異が感じられ面白かったです。演奏そのものは身体全体を使って吹いていて強ばった音という印象)との、こちらはデュオ作品。前者はギターの演奏と歌の絡み様がすごく耳に引っかかってくる。倉知久美夫さんを思い出す。すごく良いアルバムだ。かつて(?)の盟友Jim O'Rourkに『Eureka』という傑作があるがDAVID GRUBBSには『THE SPECTRUM BETWEEN』があると云ってしまいたくなるってもんだ。後者はドローン音響作品。延々と薄い膜のような音が重なり合い、いつの間にか音のテクスチュアが変わっていてハッとする。耳の奥がきれいに洗い流されるような気分に。


小山清『落穂拾ひ・聖アンデルセン』(新潮文庫・復刻シリーズ)読了。
作者は太宰の弟子として有名らしい。この短編集の中にも太宰宅で留守番中の作者が太宰になりすまして来客を迎える作品があった。東京の生まれらしくどこかしら江戸っ子特有の軽みが文章から滲み出る。登場人物の大方が貧乏であったり冴えない境遇にあったりするのだが、どれもあっけらかんとして日常を生きているのがなんとも好ましい。他の作品も読んでみたいがなかなか手に入らないであろうと思われるのが残念だ。表題作「落穂拾ひ」についてはこちらに