テレピン月日

おもしろいよ

■バイト後、西荻の古本屋O館へ。
ここは本当にいい本ばかりで、しかも新たな発見があるから行くのが楽しみになる。しかも付値は良心的で云うことない。
つい二三日前の宮沢章夫さんの日記で触れられていた絶版の本、別役実ベケットと「いじめ」』と講談社文芸文庫中上健次『熊野集』を格安で。そして、大竹伸朗テレピン月日』の初版本を購入。

■早速帰宅後ビールを飲みながら『テレピン月日』の冒頭を読んでみる。氏を製作に駆り立てるもの、出来事について書かれている。既成の「芸術」という枠組みから外れているもの(こと・人)に触発される氏の感覚に僕も触発されそうだ。だからといって、「奇をてらう」ということとは違って、もっと純粋な衝動による制作意欲の持ち主であると思う。そこが好きだ。うらやましい。

■僕の部屋に一枚だけポスターが貼ってある。
それは大竹さんの『海女泊』という作品だ。


深沢七郎『みちのくの人形たち』*1読了。
短編集。
「秘戯」という作品の中で博多人形の「裏がえし」というのが出てくる。人形の裏側が空洞になっていてそこには男女の卑猥な姿が見えるというものだ。それを見る前には腕に傷をつけ血を滲ませ、披露した後の人形は壊される風習であるというのだ。この部分を読んである映像が浮かんだ。確かではないが、たぶん鈴木清順の『陽炎座』にそのようなシーンがあって、その摩訶不思議な妖しさにやられた記憶がある。
何なんだろう。じっさいにその人形が風習が実在するのだろうか。気になって仕方がない。

それにしても深沢さんの小説はおもしろい。はじめはすいすいと軽快に読んでいると、いつの間にか周りは霧だらけで不穏な妖しい空気に包まれドキリとする。
だからゆっくりじっくり吟味したくなる。

*1:

みちのくの人形たち (中公文庫 A 99-3)

みちのくの人形たち (中公文庫 A 99-3)