桜考

今日は暖かかった。服装軽くコートのボタンも外したまま出掛けた。明日からはもっと気温が上がるらしい。桜もとうとう年に一度の本番前、舞台の袖で今か今かと待ちわびていることだろう。満開の桜を見て感激する人がいる一方で、怖いだとか不気味だとか言う人がいる。そうだ、梶井基次郎の『桜の樹の下には』や坂口安吾の『桜の森の満開の下』などは桜に漂う不穏な空気や不気味さを描いている。さて、僕はといえば満開の桜に出くわせば特に嫌悪感などはなく、かといってそれほどの感激もなく、ただぼんやりと平静を保ってきれいだなと思うだけである。ただ、誰もいない山の中、一対一で満開の桜の樹と向かい合ったらどうだろう?想像するだけで身震いしそうだ。いつか実現するだろうか。

下は昨日書名を出した坪内氏の『靖国』を読んだ直後にノートに書いたメモです。