■この一週間はあっという間に過ぎていった。吉祥寺の初めて入ったおでん屋があまりにもすばらしく、木曜日に行き、昨日も行った。カウンターにテーブルふたつほどの小さなその店は地下にあるのだけれど、階段を降りていくとだんだんと出汁のいい香りが濃くなっていき、扉を開けると60過ぎくらいの大将と女将がニコッと迎えてくれてそれだけで、幸福なきぶんになってしまう。カウンターには惣菜が盛られた大皿がいくつも並び、いろいろなおでんが詰まった鍋が湯気をたてていて、目移りするとはこのことかと楽しい。味はもう細かいことを抜きにしてたいへんおいしい。日本酒の種類も豊富だし、一見の客にもやさしく接してくれるし、いい店をみつけてしまってそのことで頭がいっぱいの私の年末だが、大晦日の夕方まで仕事があるのだった。